難病の正しい認知のために、地道に精力的な活動を

岐阜医科大学附属医学部附属病院で、難病の研究に尽力される小関道夫様にお話を伺いました。

活動内容について、お聞かせください。

岐阜大学小児科に所属し、難治性血管腫・血管寄形薬物療法研究班という研究チームを率いています。日本医療研究開発機構（AMED、通称：エーメド）の支援を受け、数十人のチームで研究をおこなっています。

薬の治験は通常、製薬企業が行う”企業治験”が多いですが、難病では病気の稀少性や収益性の問題で、企業自ら治験を積極的に行わないのが現状です。そのため、難病を研究する医師が厚生労働省などからの研究費をもとに自ら行う”医師主導治験”が最近盛んに行われています。私達もシロリムスという薬の治験を２つ実施しました。

研究している難病の中で、一番の課題はどのようなものですか？

血管腫というのは、よく使われる用語なのですが、正確には一般の人はもちろん、医療者でさえも正しく理解している人が少ないのが現状です。適切な情報がインターネット上にほとんど存在しないため、多くの情報がその病気に対する誤解を招いているケースがあります。昔から存在する病気ですが、実は十分に理解されておらず、曖昧な診断や治療が行われてきました。

具体的にはどのようなことがありますか？

経験の少ない医師が最初に誤った診断をすることで、適切な治療に結びつかないことがあります。例えば、いちご状血管腫（乳児血管腫）という乳児期に起こる血管腫がありますが、もともと自然退縮も望めるため、「小さくなるから経過観察で良い」と言われてしまうことがありますね。しかし、この病気には特効薬があるんですよ。顔や目立つ場所にある場合は、出来るだけ早く特効薬で治療を行うべきですが、最初に診た医師の判断が誤ってしまうと適切な治療時期を逸してしまうこともあります。このように、初期診療が非常に大切です。最初の判断が誤っていれば、全てが誤った方向に進んでしまうのです。

また、これまでは手術など外科的治療が主流だったので、薬で治療するということもあまり理解されていませんが、患者さんにとっては低侵襲で有効な方もおられるため、治療の一つの選択肢として理解をして頂きたいと考えています。

良い診療となるためには、どのようなことが大切だと思われますか？

我々は「病気の正しい理解と最新情報を知ること」が最も重要だと考えています。病院では、まず診察、画像検査などで、病気を診断し、行うべき治療法を決定します。
正しい診断と治療に進むためには、この病気を正しく理解し、目の前の患者さんがどの病気に当てはまるのかを正確に診断することが最も大切です。その診断が誤っていれば、全てが間違った方向に進むことになります。しかし、こうした難病情報が十分でないため、日本でも海外でも専門家以外の方にはまだ正しく理解されていないのが現状です。

また治療に関しては、手術が最適な選択である場合もありますが、最近では有効な薬物療法が開発されてきており、病状が大きい場合や手術が不可能な場合には有効なため、非常に期待されています。こうした情報もまだ広く知られていません。この点をしっかり広めたいと思っています。

病気の正しい知識を広めるために行っていることはありますか？

我々の研究班は、シロリムスという治療薬の研究だけでなく、この病気や薬について、患者さん、ご家族、一般の方に向けたセミナーを行っています。また患者団体とも連携しており、彼らにセミナーなどの情報を伝えて参加を募っています。また情報が出来るだけわかりやすく患者さん目線で伝わるよう、患者市民参画（Patient and Public Involvement；PPI）という活動も行っています。

PPIというのは、一般の人や患者さんからも意見をもらい「研究や情報発信について意見を聞き、反映させ、より良いものにする」というのが目的です。昨年、15名の方に入ってもらい、意見をもらいながら、ホームページの内容を理解しやすくするための協力をして頂きました。専門的な内容をできるだけ患者さんが理解しやすい形に表現し、YouTubeや、ホームページで発信することに力を入れています。また、今後は情報のアップデートも継続的に発信していきたいと思います。

同時に、専門家以外の多くの医師に対しても、この情報が伝わることによって、「適切な診断と治療」が患者さんに提供されることを願っています。

このホームページの特徴を教えていただけますか？

このホームページでは、病院で初めて血管腫と診断された患者さん、ご家族が読まれることを想定して、あまり不安になられないような配慮や、正しい診断、治療に繋がるように、専門的ではない、出来るだけわかりやすい平易な言葉で書くことや、イラストなどを用いた構成をこころがけました。内容は病気のことはもちろんですが、全国の専門医や、患者団体の紹介、医療費助成の情報なども掲載しています。また、患者さんだけでなく、現場の医師にも必要な学会の最新情報や文献、研究の情報もアップデートしています。

病気を正しく理解できるように、医学専門のイラストレーターに依頼して、正常と病気の皮膚の断面図を掲載しました。また病気のイラストは、PPIメンバーのイラストレーターさんに私が直接細かく指示をして制作してもらいました。キャラクターと動画は、川崎医療福祉大学という医療系の大学で医療デザインを学んでいる学生さんと先生に協力していただきました。

キャラクターは錠剤、塗り薬などいろいろな剤形をモチーフにした妖精さんで、ホームページ全体の雰囲気にも大変合っていると好評です。

ホームページ制作について

当社にご依頼いただいたキッカケや決め手をお聞かせください。

ホームページ制作をしてくれる会社を探していたところ、たくさんある中からリーピーさんをみつけました。相談しやすく、親身にやってくださりそうだなと思い、お願いしました。あと、公開後も自分たちで内容の修正や、更新がしやすいと知ったのも決め手でした。

制作が始まってからのやり取り、スキルはどのように感じましたか？

どうしても間に合わせたい時期があったので、とてもタイトなスケジュールになってしまい、急がせてしまったこともありましたが、こちらの希望通り公開できました。伝えるのが難しい症例などのイラストもしっかり対応いただけたので、すごく良かったなと思っています。私はWebの分野には詳しくない人間ですので、細かいところまで丁寧に教えてくださり助かりました。

ありがとうございました！
サイト公開後の成果や反響はいかがでしょうか？

私たちの研究班の人達から、「すごく優しい感じのページだね！」と言ってもらえて、とても印象が良いです。私も実際にこれを見て患者さんに紹介をすることがありますが、とても説明しやすいですしね。

制作料金に対してのリターンという意味ではいかがでしょうか？

はじめてホームページの制作を実施したので、高かったのか安かったのかよくわからないのが正直なところで・・・（笑）

ただ、私たちの予算内で、専門家さんのイラストも依頼できましたし、理想のホームページが完成したので良かったと思います！

制作後のフォローについてはどのように感じましたか？「こんなフォローが欲しい」などがあればお聞かせください。

まだまだ、Google検索で上位にあがってこないので、今後リーピーさんに相談したいと思っています。それと、やはり「血管腫の情報を必要としている人」に届くようなサイトとなるよう、アドバイスをいただきたいですね。

最後に

それでは最後に、リーピーをご検討中の方に一言お願いいたします。

我々は岐阜にある病院ですが、難病という病気を発信するサイトですので、岐阜にあるWeb制作会社さんではなくて良かったかもしれませんが、リーピーさんは、スケジュール的にも、とてもフレキシブルに対応いただき、内容もこちらの要望をしっかり聞いていただけました。

結果、こんなにいいサイトにしていただけたのは、リーピーさんだったからなのかなと思って、大変感謝しています！！