2014.12.08 - Mon
勝手に家の中に入ってきて野菜を置いていく、地方の日常
今日の日経新聞一面に、都会から地方移住の話が掲載されていましたが、2年以上前に東京から岐阜という地方都市に移り住んだ僕としては、この流れは増えていくだろうなとは思っていました。一番の理由はインターネットが今のように使いやすくなっていくと、東京に住んでいる理由がだんだん薄れるからです。
実際に、ビジネスの面から見ると、地方と東京は圧倒的な違いがあると感じます。“差”ではなく、あくまで、“違い”です。優劣という感覚を持つのは東京の人から見た感覚で、地方は地方で自分達が生きていく上で必要な経済は十分成り立っています。スピード感の違いは感じますが、決してそれは“不幸せ”なものではないです。岐阜は東京に比べ、収入ベースで約25%低い水準となっていますが、生活に必要な金額はそれ以上に低いため、むしろ裕福な暮らしになるように感じます。一人暮らしの賃貸は家賃3万円台でも1DKくらいには暮らせますし、一軒家を持つことも土地は余りまくってるんで、すぐ建てられます。しかも、坪単価は20万円以下という場所も多いです。日々の暮らしの中で食べ物の交換も多いですし、本当にお金が無くても、誰かの家で食べさせてもらえます。
先日も実家の玄関(外ではなく、家の中)に、野菜が大量に置いてあることがありました。友達が勝手に入ってきて、家の中に野菜を置いて帰ってるんですね(笑)。こういうのもまた、地方の魅力です。
ただ、インターネットで垣根が極めて低くなり、生活しやすい地方といっても、移住者が増えるわけではありません。実際に岐阜県も毎年1万人以上人口が減り続けています。
この理由は様々あるでしょうが、理由だけ並べて、何もアクションを起こさないのは、ただの傍観者で能弁垂れてるだけでかっこ悪いので、僕らが取り組める範囲での地方移住者が増えない理由を考えると、それは“おもしろい仕事、おもしろい会社”が少なすぎるから、だと考えています。実態として、「そんなことはない。」と言う地方経営者の方も多いと思いますが、結局それを対外的に見せて伝わらなければ、無いに等しいです。そう感じるからこそ、僕らは“Web”の力でそれを少しでも解決したい、と考えています。対外的に魅力を発信できるのは、今の世の中、Webほど低コストで効率的に出来るものは無い、と思います。
僕らの使命は、僕ら自身が岐阜県外からの採用を如何に増やすか、そして、岐阜県外から人が集まるような会社をどれだけ支援するか、だと考えています。おもしろい会社、おもしろい仕事をちゃんと発信し実現できれば、従業員も長く働く組織になると考えています。会社経営は毎年1割くらい入れ替えがあった方が良い、と言われますが、僕はその意見には否定的です。本気で終身雇用を考えています。
なぜならば、地方暮らしの人の中での仕事選びのプライオリティは、“住む場所”に対して極めて高いと考えるからです。結局は自分が仕事で通える範囲で、どの会社にするか?という選択肢になっているんだと考えています。そうじゃなければ、おもしろい仕事を求めて、東京に移住しています。しかし、東京に行かない理由は、この“住む場所”という絶対的な価値観を持っているからです。
だからこそ、その地方の中で圧倒的におもしろい会社を創り上げることが出来れば、人が定着し、採用の応募も多い会社になると考えています。実際に当社は採用において一切コストをかけていませんが、それでも毎月10名近く応募が来ます。その方々に共通するのは、やはり“岐阜で働きたい”という想いです。
この想いを尊重し、おもしろい会社、おもしろい仕事を創出し続けるのが、地方経営者の役割なんじゃないかと考えています。たまに、東京の友人などから、地方の中小企業オーナーは儲かって良いね、と言われますが、僕個人としては全く興味ありません。それよりも、この雇用をいかに増やしていけるのか、リーピーで働く毎日に対して人生の充実をどれだけ感じられるか、、、ただただ、これに尽きます。